2016-10-14レガレリア流モノ作り現場巡り

温泉地のお土産から発展した山中漆器

山中漆器知っていますか?

今回は、先日訪れた石川県の山中温泉の地で作られる山中漆器に注目してみたいと思います。
皆さん山中漆器ってご存知でしょうか?名前の通り、石川県加賀市山中温泉の地で発展した漆器です。
越前の地から移動してきた職人が山中温泉の地にたどり着いた後に、温泉に訪れたお客様が買っていくお土産品としてスタートしたのが山中漆器だそうです。

また、山中漆器は分業制で様々な企業が協力し合って作られる特徴があります。
組合分類で見ると9区分に分かれるとのことで、横の繋がりが強い地域なのが分かりますね。
山中漆器作りのスタートは、木材加工からになります。普通木材を扱うモノ作りは木を乾燥させてから加工されるものですが、山中漆器では轆轤(ろくろ)で削る加工方法をとるため、乾燥させる前の柔らかい木材でなければなりません。
ここで特徴的なのは、木を輪切りにして縦方向で使われることです。
縦木取りは横木取りに比べて部取りが悪いのですが、木目が綺麗に出るのが縦木取りだそうです。

山中漆器の特徴である轆轤(ろくろ)加工

荒くカットした木材を綺麗に器の形に削るのが、山中漆器の特徴である轆轤(ろくろ)加工です。
手に馴染む丸い形状はこの加工によって生まれてくるんですね!
一つ一つ削る作業は、端から見たら簡単に行われている様にみえます。しかしそれは、手慣れた職人だからこそ、そう見えるのだと感じました。
経験を積んだ良い職人がいるからこそのモノ作り。商品の良さ、価格はここを考慮しないと始まりませんよね。

ちなみに機械が無かった時代は、二人一組で片方が縄を引っ張り轆轤を回し、片方が削るという作業で作られていたそうです。
「回転遅くなってる!手止めるなよ」ってやり取りがあったのが目に浮かびますね笑

木目を活かすのが山中漆器

漆器といえば漆を塗りますが、山中漆器は木目を隠さず自然の木目をデザインとして表に出すのが特徴です。
木を削った後の最後の仕上げに漆を塗るにも職人の技が光ります。
木材や木目を活かす山中漆器では、素材の良さが一番重要になってきます。
ここで木目が綺麗に見えるのが縦木取りによるモノなんです。山中漆器が縦木取りに拘るのはココのポイントなんですね。

ちなみに夏場に削る木と冬場に削る木では色味が違うのを知っていますか?
夏場は梅雨の影響で木がカビてしまったりするため黒っぽくなり、冬場は乾燥しているためナチュラル色のモノが出来るそうです。
季節によって色のムラがあるのも山中漆器の特徴で、その瞬間の出会いが自分だけの器になると思うと特別感ありますよね!

綺麗な木目のモダンな器がオシャレ

今回は山中漆器の現場を周りましたが、現場をアテンドしてくれましたのが、モダンでオシャレな山中漆器を作る「我戸幹男商店」さん。
我戸幹男商店の器は、従来の木目を活かした山中漆器をモダンな空間が多くなってきた生活に溶け込むデザインに落とし込み作んでいます。
木の温もりがありつつオシャレに作られる器は、インテリアとして飾りたくなるフォルムですね。黒色に塗られた器もシックでカッコ良かったですよ!
ぜひ、皆さんも山中漆器に注目してみてください。

今回、山中漆器について現場を周り、色々とお話を伺う中で、山中漆器の現状も知ってもらいたいと思いここで書かしてもらいます。
実は、この山中漆器のベースとなる轆轤(ろくろ)加工が出来る工場が時代が経つに応じて少なくなっており、日本全国探しても山中温泉のエリアに偏って残っている現状があるそうです。現在、「○○漆器」と呼ばれる国産のモノのベースになる木地は、ほとんど山中エリアで作られている状況で、日本全国から注文が溢れ生産が追いつかない問題が起きているそうです。
山中漆器は分業制であると記載しましたが、この轆轤加工が滞ってしまっているため山中漆器の生産自体も滞ってしまっているそうです。
しかも、この轆轤加工が出来る工場も高齢化の波が襲ってきている状況があり、何年か経って国産の漆器が減ってしまうかもしれない問題があります。
この問題を打開すべく、山中では職人を育てようと山中漆器の加工技術を学べる施設を作っていますが、そこで学んだ方も作家として巣立ってしまう事が多く、職人として根付かないのが現状です。
現在、オリンピックに向けて伝統工芸品や日本のモノを盛り上げていこうとなっている状況の中、モノを売るだけでなくモノ作りの現場にも目を向けなければならないですね。

現代生活に馴染むモダンな山中漆器

木目が美しいモダンな山中漆器を扱う「我戸幹男商店」。
使うのも良し、インテリアとして飾るのも良し。
ギフトとして贈れば、「センスあるね!」と言われること間違いなしです。
現代の生活に馴染む木製の器をお探しの方にはオススメです。
ワンランク上のセンスある商品選びが大人のギフト選びのポイントですね。

INFORMATION

  • 住所:〒922-0107 石川県加賀市山中温泉上原町ヨ 58-1
  • TEL:0761-78-4421
  • web:http://www.gatomikio.jp/home.html

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